「………何をしている」

「何って、可愛いらしい寝顔を見ていただけだよ」

「…っ貴様!寝言は寝て言え!!」

「じゃあ御期待通り。一緒に寝ようか、絳攸」

「んなっ…なんでそうなるーっ!!!」




そんな朝のひと時。




「母上、体調が悪いのですか?顔が少し赤いみたいだけど…」

一郎の問い掛けに、絳攸は喉に詰まりそうになった朝餉を無理矢理飲み込んだ。

「そんなことはないよ、昨夜もよく寝ていたし。ただ朝ちょっ…」
「あんたには聞いてないし」

にこやかに、愛する妻のことを話そうとした楸瑛だったが横から一刀両断されてしまう。

「二郎。そんな風に言ったらさすがにこの人でも可哀相だよ。どうせ何をしても報われない不憫な運命なんだから話くらいは聞いてあげなきゃ」
「一郎っでも…」
「ほら、わがままばかり言ってたら何の役にも立たないつまらない大人になっちゃうよ」

と、ちらりとずらした視線を追った二郎は、その先にある父親の姿を確認すると至極真面目に、大きく頷いた。

「わかった。そうだよな!俺あんなふうになりたくないしカンダイな男だから話だけは聞いてやる」
ほら、言ってみろ。とばかりに胸を張って目を細める少年に、父親であるはずの彼は苦い笑顔と共に溜息を漏らすことしか出来なかった。





「い、一郎。二郎。朝餉が冷めてしまうから早く食べなさい。」

天の助けか、正に鶴の一声か。
絳攸が一言発すると沈みかけていた空気がぽわんと浮上する。

「「はい、母上」」

子供達は絳攸に正面を向けこれ以上にないくらいの満面の笑みを見せた。



「……私にもこう言う反応をしてくれたらもっと可愛いのにね……」



目の前で3人。
きゃっきゃと楽しそうに朝餉を食す様子を見、頬えましいと思いながらも年中反抗期な妻と息子達の自分への態度を考えてみるとやはりどこか淋しいものがある。

次こそは絳攸似の女の子が欲しい。
と箸を握りしめ
私のことは何と呼ばせようか、春にはあの花畑へ連れて行ってやろうか、でも湖も捨て難い、いやぁ絳攸に似て気の強い子も可愛いが私に見せる笑顔はとびきりなのだろうな
等と、お目出たい事を思い描きながら今夜からの家族計画をアレコレ練り始めるのであった。



そのニヤケる顔を見て更に、妻達の視線が冷たくなるのも気付かずに。

「…お前達、ああいう大人にだけはなるなよ。」
「「もちろんです。」」







セイカさんが私の妄想にお付き合い下さり書いてくれましたーvv
ありがとぉ!!マジありがとう!!書いてくれて幸せっス!
次は鍋磨きをお願いしたい(笑)
本当に、ありがとぉvv