料理対決

「楸瑛、貴様やるきがあるのか!!」
絳攸は一週間前に一方的に約束されていた料理勝負をする為に藍家別邸に訪れていた。
楸瑛に厨房へと案内されると、怒りがこみ上げてくる。
やはり…

絳攸は一方的な料理勝負とはいえ勝負を受けたからには全力で立ち向かうべく、
一週間前から既に最高の食材を用意し、己の腕も磨いたつもりだ。
しかし楸瑛といえば料理をするという話しも聞かない。
始めは相手に手の内を見せないようにしているのかと思ったが、食材を準備してる様子も見せず
問いかけてみれば「大丈夫」の一言。
何が大丈夫なのかと問いかければ笑うだけ。
しかし、ちゃんと用意していると淡い期待を抱いて来たと言うのに、
食材はおろか調味料さえないではないか。
あるものといえば大きなまな板のみ。

プチン
何かが切れた音がした。

「楸瑛!!お前、何にも用意してないじゃないか!!」
絳攸はドカっと用意していた食材の入った大きな袋を下ろすと、
自分はこんなに用意したのにと言わんばかりにバシバシと袋を叩く。
「もういい。帰る!!」
絳攸はそのまま扉から出て行こうとするが、くすくすと後ろから不愉快な笑い声が聞こえ、
手元にあった包丁を楸瑛に向かって投げつけてやった。
楸瑛は飛んできた包丁を避けるとストンっと壁に深く突き刺さる。
「おやおや、包丁は危ないんじゃないかな?絳攸。」
壁に刺さった包丁を抜き取ると近くの台に置く。
「貴様が何も用意してないのが悪いだろう!」
「ちゃんと見て、絳攸。私はしっかり用意したよ?」
その言葉に辺りを見渡すが、あるのは自分が持ってきた食材の入った大きな袋と大きなまな板。
はっと絳攸は顔を上げる。
「お前、まさか俺が持ってきた食材で作るとか言うんじゃないだろうな」
「まさか。そんなセコイ事はしないよ。」
苦笑交じりに言ってやると、絳攸は手を顎に当てて考え始めていた。
楸瑛は一歩ずつ絳攸との距離を縮めて行く。
「最高の食材はね、のこのこと此処に来てくれたんだよ。」



絳攸は一瞬何が起こった解からなかった。
気付けば何かに足が払われた事と、視界が一変した事と、目の前には楸瑛と天井があり、それから後ろには大きなまな板。
すぐに起き上がろうと肘を立てたが、楸瑛の腕が逃すまいと絳攸の腕を掴みそのまま体重をかけた。
「お前、何考えて…」
楸瑛はにやりと笑うとぺロっと絳攸の頬を舐めてやる。
「ほら、最高の食材がここに。」
にっこり、
言葉どうりの満面の笑みを浮かべた楸瑛は顔が引きつっている絳攸の唇を己の唇でなぞり
「君が悪いんだよ、他の男の為に料理なんか作るから」
「そ…それは!」
「君にとって紅尚書がどんな存在かは解かっているつもりだよ…」
ほっと絳攸が安心したように緊張を解き始める。
「なら…」
絳攸の言葉を途中で遮り、ちゅっと音を立てて唇に口付けた。
「でも。それはそれ。これはこれ。君が紅尚書へ向けてる想いと私へ向けてくれる想いは違っても、
君が誰かの為に何かをする何て絶えられないんだ…私は嫉妬深いんだよ、絳攸。」
その言葉に絳攸は一気に血の気が引くのが解かった。

「さぁ、どう料理しようか…。」

絳攸の視界に映るのは天井と、嫉妬に燃える瞳をした楸瑛。















中途半端!(爆)
文章力を下さい。